2002年5月27日

(談 話)有事法制の廃案のために力を合わせましょう

働くもののいのちと健康を守る全国センター理事長 辻村 一郎

 小泉内閣は今国会中(会期6月19日)に有事法制3法(武力攻撃事態法、自衛隊法改正案、安全保障会議設置法改正案)を強行成立させようとしています。一方、新聞の世論調査では有事法制について「まったく知らない」「あまり知らない」が70%近くも有り、彼らは、有事法制の危険な中身が国民に知られないうちに成立させようと意図しています。
 国会の今日までの論戦で明らかになったように、有事法制は@アメリカの戦争に全面的加担をするための「戦争参加法」であること、A緊急事態の際には、首相、政府に権限を集中し、その下で憲法、地方自治法、国民の基本的人権が侵害される法案であること、B自衛隊だけではなく国民も戦争遂行に協力させられ、拒否をすれば罰則を受ける国民弾圧法、であることなどです。国会での首相をはじめ政府関係者の答弁は支離滅裂であり、如何にずさんな法案であるかということも国民に明らかになりつつあります。まさに有事法制は、世界に誇る日本国憲法を蹂躙し、「日本を戦争しない国から戦争する国へ」と歴史的大転換させていく法案に他なりません。

 私たち、働くもののいのちと健康を守る全国センターは、職場、地域での労働者、中小業者、農民など働く人たちのいのちと健康を守るために、その創立の1998年から、多様な事業を展開してきました。そして何よりもいのちと健康がしっかりと守られる職場と地域、社会の実現を臨んでいます。同時に私たちは、歴史的教訓として「いのちと健康の最大の破壊は戦争」であることを知っています。「一人の人間も死なせてはならない」「一人の人間も殺させてはならない」これが全国センターの立場です。そして有事法制によれば、戦争遂行のために戦病者の治療看護のために医療労働者が、兵員、武器、食料など輸送のために、運輸、鉄道、港湾、航空労働者などが徴用され、生命の危険に危険にさらされます。自治体労働者も物資確保、土地収用などの仕事を強要されます。中小業者、農民も自由な営業が制限されます。私たちは、私たちの事業遂行の立場からも有事法制に断固反対します。
 いま、思想信条の違いを超えて全国津々浦々で巻き起こる「STOP!! 有事法制」の取り組みの力と合わせ、有事法制廃案に向けて力いっぱい奮闘するものです。職場、地域で法案の危険な本質を学び、行動の輪をさらにさらに広げていきましょう。