2002年2月25日

厚労省通達「過重労働による健康障害防止のための総合対策について」の活用について

全国労働組合総連合
事務局長 坂内三夫

 2002年春闘での連日の奮闘に敬意を表します。
 全労連は、「2002年国民春闘方針」で厚生労働省が昨年12月出した、過労死認定基準の見直し通達を活用して、長時間の時間外労働の規制と作業環境の改善にむけ、たたかう方針を提起していますが、厚労省も同趣旨の通達文書(別紙)を今月12日に出しており、これらの文書も活用して長時間過密労働を無くすよう経営者にも要求するなど、今春闘での運動強化を要請します。
 厚生労働省の労働基準局長名で出された今回の通達(基発第0212001号)は、昨年12月、過労死の労災認定基準を緩和したことを受け、月80時間を超える残業が長期間続いた労働者などには、産業医による保健指導や健康診断を受けさせるよう企業に求めるなど、過重労働による健康被害や過労死を防ぐための総合対策としてまとめられ、都道府県や、日本医師会など関係する約140団体に通達しています。
 昨年12月に見直された過労死認定の新基準では、従来は脳や心臓疾患で倒れる約1週間前からの仕事の負担で判断していたものを、「疲労の蓄積」を認めて発症前6カ月間の就労状態を考慮することなどに改めており、今回出された通達は、これらを受け、企業などが取るべき措置として、(1)時間外労働の削減(2)有給休暇取得の促進(3)健康診断の徹底実施などを明記し、残業などの時間外労働を「本来、臨時的なもの」と位置づけ、月45時間以下とするよう求めています。また、残業時間が月45時間を超えた場合は、過去の健康診断の結果や作業環境などを産業医に知らせ、助言や指導を受けさせることとし、月80時間を超える残業が長期間続いた場合には、面接による医師の指導を受けさせたうえで、必要ならば健康診断を受診させるよう義務づけています。
 さらに、労働基準法などに違反して、過重労働で健康被害を出した企業には、再発防止の指導に加え、法的処分を含めて厳正に対処するとしています。
 各組織では、各職場でこの通達が生かされるよう、厚労省が作成しているリーフレットなどを活用し学習会や職場点検活動を行なうと同時に、サービス残業をなくすことをはじめ、時間外労働の規制、健康診断の実施、作業環境の見直しなどを今春闘で要求し、強く改善を迫る必要がありますし、リストラ・人減らしをやめさせ、人手を増やすよう要求していくことが重要になっています。

以  上