( 談  話 )「サービス残業なくせ」の運動で厚生労働省が重要な通達出す

働くもののいのちと健康を守る全国センター
事 務 局 長    池 田  寛


 厚生労働省は4月6日、サービス残業を規制する重要な通達「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準について」(基発339号)を労働基準局長名で出しました。
 多くの企業におけるリストラ・人減らしと裁量労働制導入など労働法制改悪などにより労働者の長時間・過密労働が慢性化し、労働者の過労死や健康を損ねる大きな要因となっていますが、とりわけ「底なしの長時間時間外労働」を温存させている、法違反の「ただ働き、サービス残業をなくせ」の運動は、働くもののいのちと健康を守るうえでもきわめて重要な課題となっています。
 いのちと健康全国センターは、1998年の結成総会方針の中でも「サービス残業」の問題を指摘し、とりわけ昨年から全労連が当面する最重点課題と位置付け、連合を含む多くの労働団体が「ただ働き・サービス残業をなくせ」の運動を大きく展開する中で、全国センターとしても労働者のいのちと健康を守る今年度の重点課題として、昨年12月の労働省交渉で重点課題として追及すると同時に、パンフ「仕事と健康チェック手帳」なども発行して取り組んできました。
 今回、厚生労働省が「サービス残業を規制する通達」を出した背景には、この間のこれらの運動や新婦人など諸団体の運動、さらにはサービス残業根絶法を提案してきた日本共産党による国会内での追及などが結実したものといえますし、自殺を含む過労死の認定・裁判闘争や過労死をなくすための労働組合、支援団体、多くの組織の取り組みの成果ともいえます。
 これらの点からも今回の「通達」を厚生労働省内の「1通達」に終わらせないで、職場に生かすことが強く求められています。
 通達は、第一に「労働者の労働日ごとに始業終業時間の確認と記録を事業主の責務」としています。その確認方法としては、@ 使用者が直接確認する。A または客観的記録方法としてタイムカードやICカード、IDカード、パソコン入力などを例示していますが、B 労働者によるチェックを奨励しています。
 第二には、フレックスタイム制による労働者の自主申告の場合、使用者の講ずべき措置として、@ 事前の充分な説明と不利益とりあつかいの禁止、A 定期的な実態調査と労働者・労働組合の指摘による実態調査、B 適正申告を阻害するような「上限時間設定」や「社内通達」「措置」の改善。
 第三には、「労働時間の記録」を「重要な書類」に格上げして「3年間の保存義務」を課す。記録はタイムカードばかりでなく「労働者自ら労働時間を記録した報告書」も同等に扱う。(「仕事と健康チェック手帳」の残業時間記録も「重要書類」になります)
 第四には、これらの労働時間の確認を当該労働者に求めていますし、「労働時間短縮推進委員会」などの「労使協議組織」(新たな組織を含め)の活用も求めています。
 さらに第五には、重大悪質な事案に対しては司法処分を含め厳正に対処するとして監督強化を決意していることなど、かなり積極的な内容となっています。
 なお、対象職場は、「労基法の労働時間に係る規定が適用される全ての事業所」、対象労働者は、みなし労働時間制が適用される労働者を除く全ての労働者となっていますが、みなし労働者に対しても、健康確保を図る必要から、使用者が適正な労働時間管理をおこなう責務があるとしています。
 今後は、この通達を職場・地域で積極的に活用し、サービス残業根絶にむけた運動の強化が求められており、いのちと健康全国センターは、これからも多くの労働組合・諸団体と共同して、働くもののいのちと健康を守るため、長時間・過密労働をやめさせる運動を全力で取り組んでいく決意です。
( 以   上 )