【事務局長談話】
「臨界事故」の犠牲となった大内さんの詩を悼み、尊い人命を奪った事故の原因を徹底究明し、労働者の「安全確保」のため全力を尽くす

  1. 茨城県東海村のジェー・シー・オー(JCO)東海事業所で9月30日に発生した「臨界事故」によって、大量の放射線を被ばくした大内久さんの容態が危険な状態にあると報道され、心配されていました。「助かってほしい」の願いもかなわず、事故から83日目の昨夜、遂に亡くなったことが発表され、あらためて最悪の結果に全国の労働者は衝撃を受け、悲しみと怒りを胸に深く抱いています。    今回の「臨界事故」の犠牲となった大内さんの死を心から悼み、ご遺族にお悔やみ を申し上げます。
  2. 「臨界事故は起こり得ない」という『安全神話』情蒼本の誤った原子力政策のもとで、リストラによる「安全無視」が直接的な原因となって発生した最悪の事故であり、JCO社員・消防士・周辺住民の多数が被ばくしました。まっさきに被害を受けるのは現場で働く労働者であり、今回の事故についても「原子力事故」と「労災事故」の両面から原因を究明しなければなりません。                  
     全国センターは事故発生直後に科学技術庁、資源エネルギー庁に対する申入れをおこない、労働省に資料提供を求めながら原因究明に取り組んできたところです。   
     その一環として12月7日には、現地に調査団を派遣し、ジェー・シー・オーに対して、事故発生に関わるあらゆる事実を自ら明らかにし、原因を解明する責任があることを申入れ、誠意ある回答を強く求めました。                 
     ひき続き、今回の尊い犠牲を無にしないために、労働者の安全を守る立場から全力 を尽くす決意です。
  3.  今回の「臨界事故」を契機に、「原子炉等規制法」が制定され、「労働安全衛生規則・電離放射線障害防止規則」の改正が実施されますが、再発防止には「安全優先」が不可欠であり、原子力規制機関の確立と労働安全行政が直接、監督権限を発揮できる体制の確立という二重チェックが必要です。関係省庁と関係企業に「安全管理」の徹底をさらに強く求めます。                      

                    1999年12月22日          
                   働くもののいのちと健康を守る全国センター 
                            事務局長 池田  寛