活発な討議で活動方針決める全国センター第4回総会開催

 全国センター第4回総会は12月15日午後、定刻どおり1時30分に福地副理事長が「過労死認定の新基準では、全国センターのかねてからの主張が取り入れられ、1歩前進したものとなった。全国センターの活動は多彩となり、活発になってきたが、国の政策を変え、21世紀の目標と課題を現実のものにするには力不足であり、もっと大きな力をつくっていく必要がある」と21世紀最初の総会の開会を宣言し、議長団に生協労連・渡辺、京都センター・長田両代議員を選出しました。続いて、資格審査委員、議事運営委員を任命し、議事に入りました。まず、辻村理事長があいさつをおこない、過労死認定基準の改正やサービス残業規制の行政指導など一定の前進にふれながら、働くものがリストラ・不況下でいのちを削られている深刻な事態を指摘し、「大企業・政府の攻撃が体系的であるにもかかわらず、たたかう陣地の構築が立ち遅れている。労働者・労働組合が主体的にいのちと健康を守ることを土台に運動をどう改革していくか、全国センターがどうサポートし、改革に参加していくかが21世紀初頭の大きな課題となっている」ことを強調しました。また、来賓として、過労死弁護団事務局長・玉木弁護士、じん肺弁護団代表委員・山本弁護士があいさつ。玉木弁護士は、「新しい過労死認定基準は蓄積疲労を過労死の原因として初めて認めたが、まだ不十分な点も多い。さらに、救済の範囲を広げ、予防につなげるよう取り組む」と述べ、山本弁護士は、「筑豊じん肺で国の責任を認め、時効を許さない逆転判決をかちった。トンネルじん肺では全国で和解解決を前進させ、じん肺映画もつくった。2015年にむけてじん肺の根絶をめざしたい」と大きな前進を報告し、寄せられている支援に感謝を表明。堀内光子ILO駐日代表からのメッセージが紹介されました。

池田事務局長が年間総括と重点課題・活動方針を提案

 その後、議案提案に入り、池田事務局長が第1号議案(2001年の総括と2002年の活動方針)と第2号議案(「21世紀初頭の目標と課題について)を提案。池田事務局長は、21世紀最初の1年間の活動の主な特徴を「厳しい情勢の中にあっても、サービス残業規制、過労死認定基準、VDT作業基準の改善などで行政を動かし、過労死・じん肺・職業病の認定・補償面で一定の成果をあげた」「新事務所を拠点に各種研究会・プロジェクト活動の事業も着実に前進した」「相談室を開設、より開かれたセンターへ踏み出した」等の五点にまとめ、第4回総会の任務と課題として次の5点をあげました。(1)この1年間の総括、(2)2002年の重点課題と活動方針の確立、(3)「21世紀初頭の目標と課題(案)」の討論の開始、(4)財政確立の方針、(5)役員の選出。そして、情勢の特徴を述べながら、課題別に到達点と今後の方針を説明しました。このなかでは、働くもの全体のいのちと健康が脅かされている深刻な事態のもとで長時間・過密労働改善の重要性をあらためて指摘し、かちとった過労死認定基準改正を予防の観点から活用することを強調したうえで、重点課題として次の八点を提案しました。(1)健康障害や疾病・労災を起こさせない予防活動、(2)情報・資料収集と提供など情報サービスセンターの役割について、(3)専門家と共同した調査、研究会や政策提言の活動、(4)活動家養成と学習・教育活動、(5)運動の支援・交流と相談活動、(6)地方・地域センターの結成促進と連携の強化、(7)国際交流と連帯、(8)全国センターの組織拡大と機能強化。続いて、色部事務局次長が第3号議案(2001年度決算報告)と第4号議案(2002年度予算案)を提案し、実務処理の改善、経費節減の一定の努力にも関わらず連続赤字決算となり、財政確立が急務であることを報告。麦島監事から会計監査報告がおこなわれました。また、田村副理事長が第5号議案(新事務所基金収支報告と新基金創立)を提案し、新事務所カンパのお礼を述べるとともに、カンパ等の受け皿として「全国センター基金」をつくり、調査研究・後継者育成など全国センターの発展にとって大事な事業に生かしていきたいと、その趣旨を説明しました。議案に対する討論では17名が発言。残念ながら時間の関係上、4名が発言できなかったほど熱い討論となりました。

5つの議案すべてを承認し、44名の新役員を選出

 討論のまとめを池田事務局長がおこない、17名の発言で多くの教訓が出された、討論時間の関係で4名が発言できなかったことをお詫びし、今後の総会運営を改善したい、と述べて次の3点にまとめました。(1)過労死・じん肺・職業病のたたかいの勝利が報告されたが、その教訓は、労働組合がしっかり支えていくこと。黙っていては認定・補償も勝ちとれないし、職場も改善されない。認定闘争の成果を予防につなげていくことが重要(2)すべての働く人びとの深刻な実態が生々しく報告され、告発されたが、いのちと健康を守ることを運動の環にする重要性が明らかとなった。「労働時間」の問題がその要といえる。農民・自営業者を含むすべての働く人びとを対象とした大規模な「労働と健康の実態調査」を具体化していきたい、(3)「21世紀初頭の目標と展望」についての意見、「労災防止指導員・審査会参与の選出」「過労死新認定基準の問題点と運用上の対策」などの要望は、今後検討していきたい。その後、資格審査委員会から総会成立(午後4時現在、役員・代議員の出席が委任状を含め169名)が報告されたあと、「議案一括・挙手採決」の方法で議案採決がおこなわれ、反対ゼロ・保留1・賛成多数で議案が承認されました。2002年度役員選出については、長谷川理事長代行が役員候補名簿を読み上げて役員44名(四役12名、理事32名)と監事2名、顧問4名、参与3名を提案、拍手で承認しました。また、4名の退任役員を代表して鋤柄前副理事長があいさつしました。

 総会は最後に、岡村副理事長が閉会あいさつをおこない、「過労死認定基準改正の要求を出し、厚労省と交渉した団体は唯一全国センターだけだった。全国各地のたたかいを総括し、政策化し、要求を勝ちとっていくなかでこそ、全国センターの社会的な存在感を示すことができる。今後とも総会での質の高い討議をおこないたい。たたかいの質的発展をとげるよういっそう努力していきたい」と結び、21世紀最初の総会を閉じました。